ポール星人のサイクリング日記

趣味で自転車を楽しむ鷹組ポール星人です。 寒さに強く、暑さに弱い。

JBCFながわまちTT E2優勝

9/30 有給休暇

66.6kg

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ついにE2デビュー戦、ながわまちTTの日がやってきた。

休暇を取らないとレースに出られないため、JBCFは今期最終戦となる確率が高い。

少ないチャンスを確実に掴むため、この日のために作戦を練り、コースを想定した練習を繰り返し、トレーニングと食事でコンディションを整えてきた。

前日からのカーボローディングで体重は微増

疲労で少し脚が重い。昨日は機材の準備や最終確認走行で予想以上に時間がかかり、疲れてしまった。

朝から車に自転車を積み、長野県へ

到着すると涼しい風が!

いやー、暑さに弱い自分にはありがたいですね。涼しくなってきた秋のレースが最も得意。

標高1400mだから涼しいのは当然ですが。

アーティファクトのチームメイト、神田さん、森本さんにも挨拶し、4年振りに同じレースに出るマスターズポイントリーダー、サンドゥ・ヨノツさんにも挨拶。たぶんヨノツさんは自分のこと覚えてないけど笑

 

早速準備を整え、試走へ。

コースがテクニカルだという情報があり、機材は最後までTCRと迷ったものの、結局shiv TT discにした。

コースは8.8km(と言われていたが実際走行すると8.1km)の公道コース

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4kmの公道を封鎖し、道の真ん中にコーンを置いて往復するため、往路で登りになっているところは復路では下りになる。

まず、スタート直後から路面が荒れていて跳ねる!先行き不安

すぐコーナーが来るため、そこまで飛ばす必要はない。

まもなくコーナーを曲がって登りに入り、まずはヒルクライム能力が試される。1.4km7%で、登り始めは10%の急坂

ヒルクライムを一切しない自分がこの日のために登坂の練習をしてきた。試走ではゆっくり登り、斜度が確認できればOK

しかし、予定よりも脚が重く感じる。疲労が抜けきっていない。大丈夫か?本番のアドレナリンで踏み切れることを願うのみ。

登り後半は斜度が緩やかになり、頂上まで登ると緩やかな下りに入る。

ここからは一般的なTT能力が試され、空力も重要。

50km/hくらいは出る下りだから、登りで出し切って下りで休むのが最速プランだろう。斜度に対してどれくらいのペース配分が速いのか、ホームコースの477バイパスTT練で鍛えられているから大丈夫なはず。

往路終盤は再び緩い登りが出現するため、そこまでに脚を回復させて、折り返しまでの登りでパワーが出せるようにしなければならない。

折り返して復路に入ると、逆に緩い下りとなりスピードが出る。ここで休みつつとなるが、道が曲がりくねっていてコーナーワークも気をつけないといけない。そして最後の勝負所が復路中盤の緩い登り。最後の力を振り絞り、下りに入るまで踏み切るイメージだ。

そして急な下りに入ると体力的にはレース終了。あとはダウンヒル能力の勝負に切り替わる。

終盤にキツいS字が2回あり、そこはベースバーを持たないと吹き飛ばされるだろう。というか斜度が10%近くあるからブレーキかけないと80km/hくらいまで加速してしまうはず。

2回試走したものの、下りでスピードを出した2回目は最後のコーナーを曲がりきれずコースアウト……

非常に嫌な気分で試走を終えた。

レースが怖くなり、フロントホイールのプリンストン6560を45-50に変更。45-50は内幅21mmで28c付けてるし、ブレーキが効きやすい。もちろんローターは160mmに変更している。

土壇場で機材変更したものの、それでも不安は収まらず。2時間半前には自信満々で会場入りしたのに……。

時間になり、召集場所へ向かう。

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JBCFのTT検車は初めてだが、事前検車を受けていたため特に問題なし。JBCFかすみがうらTT覇者の荻野くんから助言をもらい、バー先端の高低差で引っかかった時のためにパッドスペーサーを用意していたが使う必要もなかった。

召集場所ではCOW GUMMAの鬼形さんと埼玉のオレンジジャージの選手がオーラを放っていた。

鬼形さんとは昨年11月のしろさとTTで対決し、その時は勝利したものの実力は非常に高い。今回一番のライバルだと予想していた。勝つためには全力を尽くさなければならないし、ミスは許されない。しろさとTTの時、「来年はJBCF登録しようと思ってるので、またどこかでお会いしたらよろしくお願いします」と話していたけど現実になるとは……。

 

試走で失敗したことが逆に良い方に働いたのか、嫌な緊張感はなくなった。ペース配分、コーナリング、ブレーキのタイミングなどを脳内でシミュレーションしているうちに、落ち着いてやるべきことだけを考えられるようになっていた。

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いざスタート台に上がると、全く緊張はなく、良い意味で無心になり、自然体でスタートできた。

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全く力みもなく、落ち着いて加速する。

すぐに鋭角コーナーがあるため、そこまでスタートで飛ばす必要はない。

しっかりブレーキして曲がり、曲がった先からいきなり10%の登りになる。

ここはコース中で最もパワーを出す場所になる。この序盤に一番パワーを使うというところが今回のコースで難しいところだ。自身の体力ゲージが見えていないと適切なペース配分ができない。基本的に序盤から脚の大半を使い切ることは怖くてできない、したくない。しかし、それをしないとタイムが出ない。脚の8〜9割を使うイメージだが、少しでも使いすぎるとその後垂れて終わってしまう。

だから一番パワーメーターを使う場所になる。練習で鈴鹿スカイライン湯の山温泉を登り、どれくらいのパワーで何分登れば体感的なキツさがどの程度で、そのあと何分くらい踏み続けられるのか確認した。レースでは「こんなにキツかったら最後までもたない!パワーを落とせ!」という脳の主張を聞いてしまってタイムロスすることがある。ローラーではなく実際に同じくらいの登りで限界まで踏んでおいて、そのペースが何分持つのか確認したことが安心感に繋がった。

10%の区間は400〜500wで踏み続け、斜度が緩くなったところからは少しパワーを落として登る。早くも前方に30秒前スタートの選手が見えてきて、パスする。前の選手より自分の方が息が荒い。しっかり攻めた走りができている。

1.4kmの登りは短いようで長く、長いようで短い。斜度が緩くなった区間でもベースバーを持ち続けていたことは今回の反省点。4%以下の区間はTTバーを持たなければならなかったのではないか?

頂上付近で2つ先、1分前にスタートした選手をパスして緩い下りに入る。感覚的には8〜9割の脚を使っていて、かなりキツいがまだ踏めるはずだ。

しっかり加速してTTポジションをとる。

200w程度まで落として完全に休む。起伏のあるコースでTTの練習をしているため、このあたりのペース配分は感覚的に分かる。

下りに入って最初の左コーナーは速度が乗っているため、念のため左手だけベースバーを持つ。かなり疲労している状態のため操作を誤る可能性があり、ここは確実性重視で。

そのあとは折り返しまでTTポジションを崩すことはない。緩い下りでしっかり脚を休め、折り返し手前の緩い登りは再び踏んでいく。

折り返し手前で3つ先、1分30秒前にスタートした選手をパスして折り返す。

折り返すと逆に緩い下りになり、50km/h程度まで加速する。このあたりで観戦している人がいて、「速い!」と言っていたから他の選手よりしっかり加速できているのだろう。

復路の緩い下りはコーナリングも気が抜けない。道幅が狭いため、TTではコーナリング体重移動が遅れて少しでも膨らむと危険。

下りの途中で4つ先、2分前にスタートした選手をパスし、体力的なラストスパート、最後の緩い登りに入る。

この登りを終えるとほとんどペダリングできない下りがあり、そのあとは短い平坦でゴールになる。そのため、下りに入るまでに脚を使い切ってしまって問題ない。

この緩い登りが体感的に長く、キツい。40km/hは出ているため当然TTポジションで踏み続ける。結局、少し脚を残しすぎた状態で下りに入る。ここはもう少し攻めてよかった。

下りに入ると試走とは打って変わって集中力が増し、スムーズに下っていく。最高速度75km/hだったがそんなに飛ばしている感覚もなく、無理なく速度が出ている。

結局、25cを付けた6560よりも28cを付けた45-50のほうが安定感があり、下りでも安心だ。

終盤のキツいS字コーナーでは適切なブレーキタイミングで体重移動もしっかりできて、危なげなく曲がれた。

試走でコースアウトした最後の左コーナーも、ブレーキのタイミングを修正して確実にクリア。しかし、ギアを軽くしておくのを忘れて立ち上がりでロス。勿体無い。

最後に下りで休めた脚を回して、ゴール直前のコーナーは路面が荒れているため無理せず確実に曲がってゴール!

12分11秒!!

8.8kmのコースで予想は13分台だったが、実際に走行してみると8.1kmだったため、12分台前半というタイムが出た。

暫定1位!

スタート前にオーラを放っていたオレンジジャージの選手、サイタマサイクルプロジェクトの松崎さんを43秒上回りトップに立った!

12分のレースで43秒は大差だが、それでも後ろに控えるCOW GUMMA鬼形さんのタイムを確認するまでは安心できない。

間も無く自分より5つ後でスタートした鬼形さんがゴール!

タイムは12分32秒で、自分が21秒上回った!

その後の選手は12分台を出すことができず、最終的に3位以内昇格圏内はこの3名で確定した。

 

終わってからはまず鬼形さんと話す。登りは2人ともほぼ同じペースだったらしい。自分は3分25秒5.7倍でKOM、鬼形さんは3分28秒と3秒差しかない。

やはり、登りを制するものがレースを制すると予想してこの登りで出し切った2人が1,2フィニッシュとなった。最初の登りで出し惜しみをしてしまうと、その後で挽回するのは難しい。

おそらく、鬼形さんと自分の差はその後の中盤、緩やかなアップダウン区間で垂れたか垂れていないかだろう。登りはほぼ全力だが、そのあと脚が無い中で失速せずに誤魔化してTT走行する技術は得意なところ。ホームコースの477バイパスに育てられた。

鬼形さんに「TT勝てるまで挑戦します!ライバルだと思ってるんで!」

と言ってもらえたことは本当に嬉しい。

お互い真剣にTTに取り組んで、同じレースで勝負できるライバルがいる。

いつか鷹組の先輩、ドラコさんが言っていた。

「1回同じレースで競っただけでマブダチみたいになる。仕事も家も家族も知らないけど、昔からの親友みたいな気持ちになる。レースはそういうところが良い」

この言葉を思い出す。

みんな、仕事や家庭や他の趣味や食べたい物、行きたいところがあり、もしかしたら病気や怪我、事故もあるかもしれない。そのような中で時間を作って、多少は他のことを我慢して、トラブルを乗り越えて、このように同じ趣味を続けて、同じレースに出て競うことができる。

お互いいつまで続けられるか分からないし、自分も来年続けられるかも分からない。でも、今日同じレースに出て真剣に競うことができた。このような体験があるから、競技がより面白くなるのかもしれない。

 

鬼形さんはしろさとTTにも参戦するらしく、また来月会うことができる。種目は違うけど。

自分は今回100kmに挑戦する予定。

 

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そのあとはヨノツさんとツーショット

ヨノツさんは惜しくもマスターズ2位だったらしい。翌日のチームTTにもチームメイトの古田さんと2人でエントリーしているらしく、古田さんも交えて3人でお話させてもらった。

(翌日のチームTTは3位!おめでとうございます!)

 

それからアーティファクトの神田さん、森本さんとも話す。森本さんはE3で2位!昇格おめでとうございます!神田さんは入賞!

5名で参加しているmkwの方々とも少しお話

大きなチームでE1選手も多く、地元三重からも近い。レース以外でも練習でそのようなレベルの人達と競っていかないとなかなか全日本の出場資格には届かないだろう。また練習会等お願いしてみようかなと思う。

 

そして、東京パラリンピックのロードレース、TT2冠、杉浦佳子選手とツーショット!

レースでお疲れのところ快く応じてもらえました!

パラリンピックのレースも凄かったけど、インタビューでポジティブかつ面白い人柄が見えて、様々なことを乗り越えてきた気持ちの強さも知り、ファンになりました。

初めてお会いできて嬉しかったです!

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表彰式

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副賞でお米5kgを貰いました!

ありがとうございます!

カーボは基本的に米

1日3〜4合食べるのでありがたいです!

 

優勝することができ、一安心。

今回のレースは得意なコースだったから「優勝しなければ!」というプレッシャーが大きかった。毎週のようにレースに出られるわけではなく、チャンスは少ない。本当にこの1レースに懸けてきた。詳細な対策を考え、準備してきた。結果が出て嬉しい。

E1優勝者のタイムよりも16秒速く、全カテゴリー最速タイムだったのも良かった。やはり1位と2位では気持ちの面で全然違う。

 

そして優勝したことでE1昇格、100pts獲得し、来季E1スタートがほぼ確定した。

全日本選手権の出場権を得るという目標でJBCFに登録したが、ようやくスタートラインに立つことができた。これからE1レベルの選手とロードレースを戦い、そのレベルのレース展開に対応していかなければいけない。

今よりもレベルアップし、選考対象レースで規定の順位以内が取れれば全日本選手権に出ることができる。

非常に不思議なのが、TTの全日本選手権なのにロードレースで結果を出さないと出られないというところ。年1回くらいTTの選考レースを実施しても良いのではないかと思うけど、何故無いのだろうか?

 

たった8kmのレースのために仕事を休み、長野まで行くということで必ず結果を出さなければならないプレッシャーは大きかった。

そのような中で実力を発揮し、無事結果を残すことができた。

そしてE1に上がり、これからが本番だ。

 

JBCF大会運営の皆様、参加された選手の皆様、開催にご協力いただいた長和町の皆様、ありがとうございました!

良い雰囲気の素晴らしいレース会場でしたので、今回第1回ですが来年以降も続いていけば良いなと思います。

 

 

そして、早朝から同行してレース開始まで時間管理してくれた彼女にも感謝!

ではまた!